相続により取得した上場株式等を譲渡する場合

2016-01-29

 被相続人が所有していた上場株式等を譲渡したときにも、所得税の申告が必要となります。この場合の取得価額は、被相続人の取得価額を引き継ぐこととなります。とはいえ、被相続人の取得価額が分からないことは珍しくありません。株式の譲渡所得の金額は、売却金額から取得価額と売却手数料を差し引いて計算するため、取得価額が分からないと困ったことになります。

 取得価額が分からないものを譲渡した場合に、取得価額の額を売った金額の5%相当額とすることができるという特例がありますが、それだと売買金額のほぼ95%に対して税金がかかってきます。なんとか実際の取得価額を知りたいところです。

 国税庁のホームページでは、取得価額は次のようにして確認できるとあります。

1.証券会社などの金融商品取引業者等から取引報告書が送られてくる場合
 この取引報告書で確認できます、その他には、取引残高報告書、月次報告書、受渡計算書などの書類で確認できる場合もあります。

2.取引した証券会社が分かる場合
 証券会社の「顧客勘定元帳」で確認できます。過去10年以内に購入されたものならば、取引した証券会社に問い合わせます。会社によっては、10年より前の取引情報が保存されている場合もあります。

3.日記帳、手帳、メモなどがある場合
 これらがあれば、その金額で計算して構いません。また、取得時期のみが確認できる場合には、その取得時期を基に取得価額を算定しても差し支えないとしています。

4.1~3のどれによっても確認できない場合
 名義書換日を調べて取得時期を把握し、その時期の相場を基に取得価額を算定します。

 例えば、発行会社(株式の発行会社が証券代行会社に名義書換業務を委託している場合にはその証券代行会社)の株主名簿・複本・株式異動証明書などの資料を手がかりに株式等の取得時期(名義書換時期)を把握し、その時期の相場を基にして取得費(取得価額)を計算することができます。
 これは、株券電子化後手元に残った株券の裏面で確認しても差し支えないとしています。

 相続により取得した株式を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡した場合に、課税された相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができます。

 この特例を受けるためには確定申告をすることが必要です。
 確定申告書には、相続税の申告書の写し(第1表、第11表、第11の2表、第14表、第15表)、相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書、譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書【土地・建物用】)や株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書などの添付が必要です。
 取得費加算額はこの計算明細書で計算できますので、トライしてみて下さい。

 

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