家族信託の仕組み~相続後、相続前の財産の管理

2016-11-17

 相続発生後に残された配偶者など、ある程度の財産をお持ちの高齢者の財産の管理について、有効といわれる家族信託はどのような仕組みになっているのでしょう?

 ここでいう家族信託というのは、信託銀行を介さない家族による信託というものです。

 信託は、3つの要素でなっています。それが、委託者、受託者、受益者です。
 委託者は財産を持っている方です。この財産は、1,000万円程度の銀行預金とか自宅とかでも構いません。
 受託者は、この財産の管理運用を任された方です。受益者とは、この財産から利益を得る者です。

 私たちは、ものを所有することで、直接利用することによる利益、貸したりした場合は運用による利益、処分することによる利益などを得ます。信託では、ものを所有する権利と、ものを所有することにより利益を得る権利とを分解して考えていきます。
 あくまでもイメージとしてですが、名義は○○さんですが、でも実質自分のものだよといった感じです。

 受託者は託された財産を管理するわけですが、この名義を取得することになります。そして。受益者がそのものの利益を実質的に取得するわけです。

 家族信託の基本形は、財産を所有する親(委託者)が、財産を管理する子(委託者)に財産を信じて託し、その財産から生じる利益を受ける(受益者)こととなります。つまり、委託者=受益者となるもので、このような信託を自益信託といいます。

 自分が直接所有している場合とどこが異なるか、それは管理する子が入り込むことです。所有権(名義)事態は子(委託者)に移動することになります。子に所有権が移動することで、勝手に処分されないか不安も残るかもしれませんが、そこは、管理できる範囲を信託契約で決めればいいのです。
 また、受託者がちゃんと仕事をやっているか管理する信託監督人を設けることもできます。

 気になる税金ですが、実質的に使用収益する権利は受益者=委託者に残ったままですから、基本的にこの段階では、所得税などの税金の課税関係は変わりません。

 ではスムースに受託者が財産を管理するにはどうすればいいか、不動産などは信託登記できますが、預金の場合は預金通帳の屋号に「信託口」と入れ てくれる銀行を選んで口座開設することで解決します。

 家族信託による財産管理はこのような仕組みで行うことになります。

 

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