夫婦の財産と夫婦財産契約

2017-01-25

 財産計画などを考える場合、個人単位で考える場合と、夫婦単位、家族単位で考える場合があります。所得を稼ぐという観点では個人単位となるのでしょうが、共同して消費を行う個人の集まりを1つの単位として考えるというのも、ある意味自然なことです。

 わが国の所得税は個人単位課税を採用していますが、配偶者控除や扶養控除などの所得控除では、個人単位課税の修正が試みられているようにみえます。
 とはいえ、原則として個人が稼いだものは個人のものです。世帯の財産ということにはなりません。税務相談などをしていますと、夫婦の財産は夫婦のもの、持分割合など意識しなかったということを言われる方が少なくありません。

 民法では、夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産、つまり、夫婦の一方が単独で有する財産とするとしています。そして、夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定することになります。

 例えば夫婦の片方の名義で取得したマイホームはその方の所有物となる一方、夫婦のもう一方の名義で積み立てている預金は、その方にそれだけの所得があるならば、その方の財産となるのです。

 もっとも、民法には夫婦財産契約というものがあります。婚姻届け出前に締結しなければならない、届け出前に登記をしないと相続人や第三者に対抗できない、届け出後には内容の変更ができないなど、使い勝手が悪いため、ほとんど利用されていない制度ですが、これにより、婚姻後に得られた財産を夫と妻が2分の1ずつの持ち分を持つ共有とすると定めることもできます。(次回につづく)

 

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