セットバックと相続税評価

2016-10-25

 セットバックの必要な宅地かどうかの調べ方について述べてきましたが、今回は、それと相続税の計算でどのように関係するかというお話しです。

 土地の相続税の課税価格の計算のもととなる評価額は、路線価や固定資産税評価額を基に計算することになりますが、そうして計算した評価額に対して、セットバックが必要な宅地は評価減ができるのです。

 相続税における財産の計算の基準となる財産評価基本通達では

——————————————————————————–
24-6(セットバックを必要とする宅地の評価)

 建築基準法第42条第2項に規定する道路に面しており、将来、建物の建替え時等に同法の規定に基づき道路敷きとして提供しなければならない部分を有する宅地の価額は、その宅地について道路敷きとして提供する必要がないものとした場合の価額から、その価額に次の算式により計算した割合を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価する。

 (算式)
 将来、建物の建て替え時等に道路として提供しなければならない部分の地積÷宅地の地積×0.7

——————————————————————————–

としています。つまり、30%評価でいいということですね。

 ここで気をつけて欲しいのは、あくまでもこれは「セットバックを必要とする」宅地ということ。現にセットバックしている土地ではないのです。
今は宅地の一部として使用していますが、将来的に道路として提供しなければならない土地は、30%で評価しますということです。

 では、セットバック済部分の宅地はどうなのかというと、それはもう、道路として使用されているのですから、「不特定多数の者の通行の用に供されているときは、その私道の価額は評価しない。」(評価基本通達24)ということになり、零評価となります。

 で、更に現地調査の際の注意点として、セットバック済とされている宅地であっても、プランターを置いたり、自転車置き場にしたり、自販機を設置したりと、自用地と変わらぬ使用をしている土地でしたら、不特定多数の者の通行の用に供されていないことになるということです。
 ですので、その場合は零でなく、30%評価であげないといけないということになります。

 

ページの上部へ戻る

Copyright(c) 2018 小林磨寿美税理士事務所 All Rights Reserved.