2項道路とセットバック

2016-10-24

 セットバックが必要な宅地かどうかを調べるため、接道する道路の種別が建築基準法42条2項の道路かどうか調査を行ったという話を書きましたが、建築基準法42条は道路について定義したものです。

 42条1項の柱書は、次のようになっています。

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(道路の定義)
第四十二条  この章の規定において「道路」とは、次の各号の一に該当する幅員四メートル(特定行政庁がその地方の気候若しくは風土の特殊性又は土地の状況により必要と認めて都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内においては、六メートル。次項及び第三項において同じ。)以上のもの(地下におけるものを除く。)をいう。
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 この「次の各号」では、道路法などの法律で定められた道路をあげています。そして問題の第2項、ちょっと長いです。

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2  この章の規定が適用されるに至つた際現に建築物が立ち並んでいる幅員四メートル未満の道で、特定行政庁の指定したものは、前項の規定にかかわらず、同項の道路とみなし、その中心線からの水平距離二メートル(前項の規定により指定された区域内においては、三メートル(特定行政庁が周囲の状況により避難及び通行の安全上支障がないと認める場合は、二メートル)。以下この項及び次項において同じ。)の線をその道路の境界線とみなす。ただし、当該道がその中心線からの水平距離二メートル未満でがけ地、川、線路敷地その他これらに類するものに沿う場合においては、当該がけ地等の道の側の境界線及びその境界線から道の側に水平距離四メートルの線をその道路の境界線とみなす。
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 これが2項道路といわれているものです。道路法などの法律で定められたものではないけれど、「幅員四メートル未満の道で、特定行政庁の指定したもの」も道路とみなすということです。

 そして、「その中心線からの水平距離二メートル(略)の線をその道路の境界線とみなす。」とありますので、接道している宅地についてセットバックが必要かどうかは、この中心線がどこにあるかが重要です。それが但し書きです。

 「当該道がその中心線からの水平距離二メートル未満でがけ地、川、線路敷地その他これらに類するものに沿う場合」、これを埋め立てたり切り崩したりすることが困難です。したがって、向かい側における現況の道路境界線から4mの線まで、一方的に敷地を後退させなければならないということになります。

 実地調査で、近隣の宅地についてセットバックしている形跡があったとしても、2項指定は隣の宅地の前までかもしれません。実際の事例として、評価対象地の接道部分の途中までが2項指定されていたことがありました。また、地図上では、道路との間に水路があったとしても、実地調査すると暗渠となっており道路に取り込まれていたということも。近隣の宅地について、セットバックの実施具合がまちまちで、実地調査だけではどこが中心線だかわからない、これもありがちです。

 ということで、セットバックの確認では、実地調査と役所調査の両方とも欠かせません。

 

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