相続人に未成年者がいる場合の相続税の申告

2016-02-24

 ご両親に未成年の子という家族で親に相続が発生した場合、遺産分割協議をするためには家庭裁判所で特別代理人の選定をしなければならないとされています。それは次のような理由です。

1.未成年者は、原則として単独で法律行為ができないこと。
 未成年者については、法定代理人(親権者または未成年後見人。一般的には親)の同意があって、初めて完全に有効な法律行為をおこなうことができます。これは民法第5条第1項(未成年者の法律行為)を根拠とします。
 民法では、未成年者は、判断力が備わっていないとされており、不利な内容の契約を結んでしまわないように、強力に保護されているのです。

2.法定代理人と未成年者の利益は相反するため、法定代理人では代理人になれないこと。
 遺産分割協議において、被相続人の配偶者である親と子の利益が相反することとなります。そこで、親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならないとされており、そのため遺産分割協議のため、特別代理人の選定をする必要がでてくるのです。

 また、子が2人以上いる場合、それぞれの子の間でも利益相反となるため、それぞれ別の特別代理人を選定しなければなりません。これらは、民法第828条(利益相反)の規定です。

 ところで、そのような場合に、相続税の申告書には、どのように記名押印すべきか、迷うことがあります。選定した特別代理人が記名し、押印することとなるのでしょうか?
 
 結論から言うと、意思能力がないと思われる未成年者(学校に上がる前の幼児など)を除き、未成年者本人が記名押印をすればいいということとなります。
 なぜならば、申告書の提出自体は、一般に法律行為とはされていないのです。したがって、民法第5条の制約は受けないこととなります。ただし、意思能力がないと思われる者については、代理人が行うという整理です。したがってこれは利益相反とは関係がありませんので、親権者が記名押印して構わないということになります。

 

ページの上部へ戻る

Copyright(c) 2018 小林磨寿美税理士事務所 All Rights Reserved.