最高裁が預貯金も遺産分割の対象と判断
以前この欄(「預金は分割の対象じゃない???」2016-10-21)でも取り上げました「預貯金債権が遺産分割の対象になるのか否か」が争われた審判の決定で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は、昨年末(2016年)12月19日において、「預貯金は遺産分割の対象となる」との初判断(「預貯金も遺産分割対象に 最高裁が初判断」日経電子版参照)を示し、原審を破棄して大阪高等裁判所に審理を差し戻しました(平成27年(許)11「遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件」)。
法制審議会の民法(相続関係)部会がとりまとめた「民法(相続関係等)の改正に関する中間試案」でも,預貯金債権を遺産分割の対象とすべき案が示されており、また、実務で実際に行われていたことが追認されたようなものともいえますが、では実務にまったく影響がないかというと、そうとも言い切れないのです。
たとえば、相続人間に争いがあり遺産分割協議が整う見込みが立たないような状況において、せめて預貯金については、自分の相続分を確保したいという場合には、「金銭債権の一種である銀行預金についても、各相続人は、自己の持分について払い戻しの請求をすることが可能である」とした従前の最高裁判決(最判昭29.4.8)を根拠に訴訟を起こす戦略がとられることがありました。実際に判断が示されなくとも、トラブルを避けたい銀行側が、これにより法定相続分の払戻しに応ずることもあったようです。
しかし、今回の最高裁での判断により、この戦術の有効性に翳りが生じたといえそうです。これにより、相続人全員の協議が整わない状態で、特定の相続人について、法定相続分だけ先に払戻しを受けるということは、更に難しくなったということになります。

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