兄弟相続の場合の注意点2~代襲相続

2017-02-10

 兄弟相続の場合の注意点の第2回目です。

 前回、本来相続人となるべき方が被相続人より先に亡くなられていた場合に相続人となる方を代襲相続人というとご説明しました。

 代襲相続の規定は民法887条(子及びその代襲者等の相続権)にあります。そこでは、被相続人の子は相続人となる旨と、被相続人の子が相続の開始以前に死亡したとき、又は一定の事由により相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となり、この代襲者が相続の開始以前に死亡したとき、又は一定の事由により相続権を失ったときは、更にその者の子がこれを代襲して相続人となる旨を定めています。

 また、889条では、被相続人の兄弟姉妹が相続人となる場合に、この相続人となるべき兄弟姉妹が、相続の開始以前に死亡したとき、又は一定の事由により相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となるとあります。

 これは何を言っているのかというと、相続人の子が被相続人の死亡以前に亡くなられている場合等はその子(孫)が相続人となり(代襲相続人)、子だけではなく孫もすでに亡くなられていた場合等はひ孫が相続人となる(再代襲)が、兄弟相続の場合は、相続人となるべき者がすでに亡くなられていた場合等は甥、姪が相続人となる(代襲相続人)としても、甥、姪までもがすてに亡くなられていたならば、甥・姪の子は相続人とならない、つまり、再代襲をしないということなのです。

 ここで、「一定の事由」とは死亡以外の理由で相続権を失う場合、相続の放棄、欠格、廃除のうち欠格及び廃除を指します。
 欠格とは、例えば、故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者などは相続人になれないということです。
 廃除とは、推定相続人が被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときに、被相続人となる人自身で相続権を剥奪することを家庭裁判所に請求するものです。
 いずれの場合も、相続人自体に非がありますが、相続人の子には関係ないので、代襲相続が認められています。

 これに対して、放棄は自ら相続権を放り出すことですので、代襲相続は認められていません。同順位の相続人がいない場合は、次の順位の者が相続人になることになります。もし放棄の場合に代襲相続が認められるとすると、相続税の課税について1代飛ばしが可能となりますから、課税の公平の見地からも不合理となりますしね。

 

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