相続税額の計算と申告期限
相続税の課税価格の計算
相続税の実際の計算は、まず各人ごとに課税価格を計算することから始めます。
相続税の課税価格は次のように計算します。
(※) 贈与を受けた者が相続又は遺贈により財産を取得した場合に限ります。
次に、この各人ごとに計算した課税価格を合計して全体の課税遺産総額を出します。
なぜ、各人ごとの課税価格に税率を乗じる方法をとるかと言うと、遺産分割の仕方によって相続税額の総額が変わらないようにするためです。
遺産に係る基礎控除額と課税遺産の総額
課税価格の合計額-遺産に係る基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)が
課税遺産の総額です。
(注)平成26年12月31日までに開始した相続では、遺産に係る基礎控除額は、(5,000万円+1,000万円×法定相続人の数) です。
相続税の総額と各人の納付税額
相続税の総額は、この課税遺産の総額に、各人の法定相続分を乗じて、さらにその金額に×税率としたものの合計額です。
遺産を法定相続分通りに分割した場合の相続税額の総額を算出するわけです。
この総額に、実際の分割割合を乗じて、各人ごとの調整をしたものが、各相続人の納付税額です。
相続税の2割加算
相続や遺贈のよって財産を取得した人が、その被相続人の一親等の血族(父母又は子、代襲相続人)及び配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額の2割に相当する金額を加算することになっています。
子供を飛び越して孫が遺贈を受けたり、被相続人の養子になった孫あるいは兄弟姉妹などが相続した場合には、税額が2割増しとなる制度です。
遺産取得税方式とは
現行の相続税の課税方式である遺産取得税方式は、2割加算がある場合を除き、遺産分割の方法によって税額の合計額が変わることはないというメリットがあります。
しかし、このように大変複雑な計算になります。
また、自分の取得した遺産だけでなく、遺産の総額がわからなければ、自分の納付すべき相続税額を計算することができません。
相続税の申告は、通常は共同相続人が申告書を共同提出することになります。
申告期限と連帯納付義務
相続税の申告書は、遺産の総額が基礎控除額を超える場合に提出しなければなりません。
申告書の提出期限は相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人の亡くなられた日)から10か月以内となります。
この日が休日などにあたる場合は、後ろにずれることになります。
相続税について、もう一つ重要なことがあります。
それは相続税には、連帯納付義務があるということです。
各共同相続人は相続又は遺贈により受けた利益を限度として、相続税の納税義務を連帯して負うことになりますので、留意して下さい。