配偶者の税額軽減
配偶者については相続税の減額措置が取られています。
配偶者に対する相続税について減額措置が設けられている理由
1)配偶者は被相続人の財産形成へ寄与しているので、遺産について潜在的持分があること
2)配偶者の老後の生活保障のため
3)被相続人と同一世代であり、次の相続税課税までの期間が比較的短いこと
といわれています。
軽減額の算式
次の1)、2)のいずれか少ない金額となります。
1)
(注)1億6千万円未満のときは1億6千万円
2)相続税の総額×配偶者が実際に取得した遺産の課税価額の課税価額合計額に対する割合
▼具体的な軽減額
ざっくりとした軽減額は、【配偶者が法定相続分で遺産を取得したとした場合の相続税額】と【配偶者の実際の相続税】のどちらか少ない方、というイメージで捉えて下さい。
「最低1億6千万円」というのは、配偶者が法定相続分で遺産を取得した場合の課税価額が1億6千万円未満ならば、遺産分割の時、配偶者の相続分を法定相続分より多くして1億6千万円まで増やしても、配偶者には相続税がかからないということです。
▼特例を受けるための注意点
配偶者の課税価格のうちに未分割財産が含まれているときは、その財産の価額は軽減額の対象となる配偶者の課税価格から除かれます。
ただし、小規模宅地等の特例と同様に、相続税の申告をする時に未分割でも、未分割財産が申告期限から3年以内等に分割されれば、この特例を受けることができます。
また、やむをえない事情で分割されない場合も救済措置があります。特例の適用には相続税の申告が必要です。
▼その他の注意点
遺産分割には非常にいろいろな側面がありますので、当面の税負担だけで遺産分割をすることはできません。
相続税の話に限りましても、配偶者と被相続人はほとんどの場合同世代ですので、配偶者が被相続人となる相続をも視野に入れる必要があります。