遺産分割未了のまま第二次相続が発生した場合

2015-12-04

 相続税の相談を受けておりますと、いろいろなケースに当たることとなります。

 先日は、父が亡くなったあと、相続手続きを終えないうちに、母が亡くなってしまったという事案でした。

 もし、母の死亡に係る相続税の申告期限までに、父の遺産について母の取得分を零とする遺産の分割が行われているときは、相続人である子たちは、母の死亡に係る相続税の申告をする必要はありません。しかし、母の死亡に係る相続税の申告期限までに父の遺産が未分割である場合には、父の遺産のうち、母の法定相続分2分の1に相当する部分について、母の遺産として相続税の申告をする必要があります。

 ところで、相続税額の計算では、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、配偶者の法定相続分相当額と1億6千万円のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという特例があります。
これが、配偶者の税額軽減特例というものですが、被相続人の遺産が未分割ならば、この特例の適用は受けることはできません。

 ご相談の事案のように、父の亡くなったあと母がすぐに亡くなった場合、母は父の死亡に係る相続税の申告について、配偶者の税額軽減特例を受けることはできないのではないかという疑問が生じます。

 このような事態に対応して、相続税法基本通達19の2-5では、相続又は遺贈により取得した財産の全部又は一部が分割される前に、その相続(第1次相続)に係る被相続人の配偶者が死亡した場合において、第1次相続により取得した財産の全部又は一部が、第1次相続に係る配偶者以外の相続人等及びその配偶者の死亡に基づく相続に係る相続人等によって分割され、その分割により配偶者の取得した財産として確定させたものがあるときは、配偶者の税額軽減特例の規定の適用に当たっては、その財産は分割により亡くなられた配偶者が取得したものとして取り扱うことができるとしています。

 つまり、子ども達が、父の遺産の一部を母が取得したものとして確定させれば、それについては配偶者の税額軽減の特例が使えることとなります。

 

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