贈与税の配偶者控除

2015-12-20

  贈与税の配偶者控除とは、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除できるという特例です。ただし、あくまでも、贈与税の特例ですので、登録免許税や不動産取得税は課されることとなります。

 贈与税の配偶者控除の特例を使って、相続財産となりそうな居住用不動産を配偶者に移転することができます。また、その不動産に含み益があるならば、売却した場合の3,000万円控除の特例を、事前にその不動産の持分贈与をすることで、夫婦でダブル適用することも見込むことができます。なお、3,000万円控除とは、マイホームを売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例で、自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ることが要件ですので、マイホームの敷地の持分と併せて、マイホーム自体の持分も、配偶者に贈与することがポイントです。

 ところで、平成28年度与党税制改正大綱に次のものがあります。

 贈与税の配偶者控除について、その適用を受けるための申告書に添付すべき 登記事項証明書を、居住用不動産を取得したことを証する書類に変更する。(注)上記の改正は、平成 28 年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る 贈与税について適用する。

 つまり、贈与税の配偶者控除を受けるためには、従来、その贈与を受けた不動産の登記名義の移動が必須でした。ところが、今回の改正案では、不動産登記手続きは必要でなく、贈与契約書を作成し、税務申告書に添付することで、受けることができるとしています。

 この改正により、相続発生直前や居住用不動産譲渡契約直前の贈与契約であっても、それが事実である限り、贈与税の配偶者控除の特例を受けることが可能となりそうです。いろいろな意味で、気にある改正事項ですので、どのような法案となるか注目したいところです。

 

 

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