特定障害者に対する贈与税の非課税

2016-08-24

 障害者の方の生活の安定を図る方法として、信託を利用するものがあります。
基本的には、親族の方が委託者となり、信託銀行を受託者とし、扶養信託契約を締結し、障害者である受益者の方が定期的に生活資金等を受け取る仕組みです。
委託者と受益者が異なる信託ですので、「他益信託」となり、原則として信託の際、障害者である受益者の方が、その親族である委託者から贈与を受けたとして、贈与税が課されます。

 しかし、それでは、障害者の方の生活を支援する効果が減らされてしまいますので、一定の障害者扶養信託契約につきましては、信託の際、一定の金額については贈与税を非課税とする特例が設けられています。

 対象となる信託は、「特定贈与信託」という商品名で取り扱われています。対象となる障害者は特定障害者といい、重度の心身障がい者、中軽度の知的障がい者および障害等級2級または3級の精神障がい者等となります。

 受益者への給付方法は、各信託契約により定められていますが、受託金額6000万円の場合、信託期間を最長30年間とし、毎年200万円給付するとした例があります。また、商品自体には元本割れのリスクがある他、手数料の負担も生じます。運用益については所得税が課税されることになります。 

 特定障害者が死亡した際の残余財産は、その相続人または受遺者に交付されます。また、信託する際に、ボランティア・障害者団体や社会福祉施設等を指定しておくと、残余財産を寄附して他の障害者のために活用することもできます。

 肝心の非課税限度額ですが、その信託受益権の価額のうち、重度の方に特定障害者の方については、6000万円、それ以外の特定障害者の方については3000万円までの金額となります。
 
 特定を受けるためには、信託の際に信託会社の営業所等を経由して「障害者非課税信託申告書」に次の書類を添えて、納税地の所轄税務署長に提出することとなります。

① 特定障害者扶養信託契約書の写し
② 特定障害者(特別障害者を除く。)又は特別障害者であることを証する書類
③ 信託受益権の価額の計算の明細書
④ 特定障害者の住民票の写し

 

 

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