リフォームはいつやるか~空き家控除その2

2016-01-23

 平成28年度税制改正により、空き家控除という譲渡所得の特例の導入が見込まれています。

 この特例適用のためには、相続財産である家屋が現行の耐震基準を満たしていない場合、基準を満たすようリフォームをすることが必要でした。
 しかし、当然のことながら、リフォームのためには資金も要することから、相続税が課税される事案では、相続開始前にリフォームをしておくのはどうだろうかという疑問がでてきます。

 被相続人となる方の財産として、自宅と預貯金があるとします。リフォームにより預貯金が工事費用分減少しますが、それがそのまま建物の評価額にオンされるかというと、相続税の計算上はそうはなりません。

 建物の相続税評価額は、通常、固定資産税評価額により算定されます。そして、外壁塗装や水回りの工事、内装をきれいにする程度の部分的な改修工事の場合は、固定資産税評価額が改定されることはまずありません。これは、原則として、建物の床面積の増加あるいは減少を伴わないリフォーム工事や建物の基礎と柱を残しただけの改築工事が行われた場合には、建物の固定資産税評価額の改定が行われないためです。

 だからといって、相続開始直前に、リフォーム工事を行った場合はどうかというと、国税庁のホームページに次のような質疑応答事例があります。

 『増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の評価』

【照会要旨】
 所有する家屋について増改築を行いましたが、家屋の固定資産税評価額が改訂されていないため、その固定資産税評価額が増改築に係る家屋の状況を反映していません。このような家屋は、どのように評価するのでしょうか。

【回答要旨】
 増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない場合の家屋の価額は、増改築等に係る部分以外の部分に対応する固定資産税評価額に、当該増改築等に係る部分の価額として、当該増改築等に係る家屋と状況の類似した付近の家屋の固定資産税評価額を基として、その付近の家屋との構造、経過年数、用途等の差を考慮して評定した価額(ただし、状況の類似した付近の家屋がない場合には、その増改築等に係る部分の再建築価額から課税時期までの間における償却費相当額を控除した価額の100分の70に相当する金額)を加算した価額(課税時期から申告期限までの間に、その家屋の課税時期の状況に応じた固定資産税評価額が付された場合には、その固定資産税評価額)に基づき財産評価基本通達89(家屋の評価)又は93(貸家の評価)の定めにより評価します。(以下略)

 つまりは、工事費用の70%で評価される可能性は残りますが、それでも、工事費用相当額を現金で持っている場合に比べると、相続財産の総額は減少することとなります。

 では、生前にリフォームをすることなく、空き家控除を選択するのはどのような場合だろうかと考えますと、まずは相続税がかからない場合、そして、耐震基準をすでに満たしており、リフォームの必要がない場合となりそうです。(生前にリフォームを済ました場合も空き家控除の適用はあります。)

 なお、空き家控除は、平成28年4月1日から31年12月31日の簡にした譲渡に適用するとありますが、かつ、相続開始があった日の属する年の12月31日の間にした譲渡とされていますので、平成25年1月2日以後に発生した相続から適用があるということになります。

 

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